【ネタバレあり】鯨統一郎『タイムメール』
・鯨統一郎の作品『タイムメール』について書きます。・『タイムメール』とは「ゲッサン」(月刊少年サンデー)に連載されていたオムニバス小説です。文庫巻末に“時代背景を現代に合わせるなど大幅に加筆修正し、文庫化”とあり、氏にしては珍しいなと思い、雑誌と文庫版の違いが気になったので調べました。
・少し私の話をすると、鯨統一郎作品が大好きで、ほぼすべて読破しています。のめり込むきっかけが『とんち探偵一休さん 金閣寺に密室』でした。一休さんが密室の謎に挑みます。デビュー作『邪馬台国はどこですか?』に隠れていますが、初期の傑作のひとつです。密かに続編を期待しています。
・さて『タイムメール』のストーリーは、短編オムニバス形式で全12話。初出は2009年6月から2010年5月号まで「ゲッサン」誌上で連載されていました。長い間書籍化されなく、2018年9月にハルキ文庫になりました。
・作品内容は、過去の自分に一度だけメールを送れる能力をもつ無量小路幽子が、過去を悔やむ人々の運命を変えるというものになります。告白できなかった大学生、夢を諦めきれない男、孫の死を回避したい祖母などなど、彼らの運命を変えながら、少しずつ、なぜ無量小路幽子がこのようなことをしているのかも明らかになっていきます。
・初回は、基本データと、作品共通の変更点です。
【データ】
●2009年6月から2010年5月号まで「ゲッサン」(月刊少年サンデー)誌上で連載
●2018年9月に文庫化(ハルキ文庫)
●「雑誌」挿絵:オオイシヒロト
●「文庫」装画:とろっち 装幀:菊池 祐
●鯨統一郎の著書には珍しく、文庫巻末に参考文献がありません。
【作品共通の変更点】
●いちばん大きな変更点は、“ケータイ”表記がすべて“スマホ”になったことです。それに合わせて“送信ボタンを押す”から“送信する”など、スマホ仕様に変更されています。
●他は、躰が軀、筈がはず、年が歳など共通で変更されています。
●読点の変更はかなりあります。
(●句読点の変更、物語の内容に差し障りなさそうなものに関しては記載していません。)
【その他】
●雑誌連載中、回を重ねると無量小路幽子の一人称が、“わたし”から“あたし”に変更されています。
●他の作品に出てくる人物、固有名詞などあります。これはこれで別にまとめていきます。
次回は第1話の検証をしていきます。
それでは今回はこのあたりで。次回また会えれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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