「自転車の二人乗りしたことない」
ROYが言う。
「しゃーない、うしろ乗って教えるわ」
私は言う。
その過程を見せてもらう
ジャケットの印刷まで行っている、プリンターの音が響くほどの静まりかえった部屋で
丹野母が部屋を覗き、このお茶飲んでいきと水筒を置いていく
ぷはぁとNが押し入れから出てくる
作業を終えた丹野氏は、A3サイズの箱の中の動物立体パズルをやってる
半分以上パズルのピースが破損してるが、ここは蟹やな、ここは猿やなと根気良くかつ手早く
部屋の扉開いてたから兄が扉を横切る
「うわさのステイシーさん?」
そう、と兄が立ち止まったので彼と言葉を交わす
私は大阪という都市にいる。正確には「大阪市中央区」と呼ばれる区画に分類される場所らしい。なぜここにいるのか、正確な経緯は思い出せない。おそらく、あの不快な医師が「気分転換になる」と言っていた気がする。だが、誰の気分を、どこへ転換するというのだ? 朝、私は「なんば」という場...